今になって、ふとした瞬間、母の気持ちを辿ってみることがある。
母は60代頃から、「何も良いことないじゃない」と嘆いていた。年を重ねるにつれて、不満や心配を口にすることが増えていった。
「年を取ると人間丸くなるものね」と言ってはいたが、丸くなり切れていなかった。こだわること、許せないことが多かった。だから、笑顔になれなかった。
はたから見れば、安定した恵まれた環境でも、本人がそれに気付かなれれば、不幸だ。
要らない心配をしたり、もっと恵まれている人を羨んだり、満足感が得られない。不機嫌になってしまう。
「今持っているものを数え上げて、私は満ち足りている、幸せだと思うことが出来れば、人生なんとかなる。機嫌よく過ごせる。」今の私だったら、そう伝えてあげることが出来たのに。もっと笑って、穏やかに過ごせたかもしれないのに。
親の価値観の影響を受けて子供は育つけれど、大人になったら、価値観や考え方が違ってくるのは当然で、同じではないということを受け入れるしかない。説得は出来ない。歯がゆいけれど、見守っているしかできない。
今となって思うことは、たとえ受け入れられなくても、諦めずに、「もっと見方を変えて、楽しもうよ、笑おうよ」と、言い続ければよかったのかな。押し付けるのではなく、さりげなく、繰り返して、じわじわ浸透させていく。そんなやり方もあったかもと思えてくる。
自分の親だもの、幸せな晩年を過ごして欲しかった。


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