加齢なのか、認知症の兆候なのか、区別するのは難しい。母親の最初の異変は、片づけなくなったこと。きれい好きだったはずなのに、部屋が出しっぱなしの衣類で散らかるようになっていった。そして、会話中に「頭が痛い」といって、考えることが出来なくなっていった。私が何か説明して、そうでしょ?と聞いても、「頭が痛いから考えられない」、「よく解らない」と言う回数が増えていった。単なる加齢か認知症の始まりか、判断できなかった。こんな状態が数年は続いた。
初期の段階で行動すべきこと
初期の段階で、認知症を遅らせるには、何ができたのだろう。
認知症の疑いが出てきたころ、お母さん、それ違うでしょ!とか、それおかしいでしょ!とか、ついついきつく反応していた。動作が遅くなっても、間違えても、もっと暖かく受け入れてあげるべきだった。でも、ついつい今までの感覚で、対応していた。もう、昔の元気だったころの母とは違っていたのに。それが、母を委縮させ頑固にさせてしまったと後になって気付いた。
親の異変に気づいたら、今までの接し方を見直して、変える必要があると思う。
とにかく聞いてあげる。いらつかずに、親身に聞いてあげることはとても大変だけど。
おかしなことを言っても、直ぐに反論したりしない。いままでの親ではないと認識する。
ゆっくり分かりやすく説明する。
いくつものことを考えた処理しなければならなくなると、パニックになりがちだ。ひとつずつ、ゆっくり説明すれば、分ってもらえる。
気持ちの持ちよう
今思えば、毎日の生活がもっと楽しかったら、認知症はこんなにも早くは進行しなかったのに。同居してる兄嫁と上手くいかず、不満や不平を抱え込んでいた。毎日が楽しそうではなかった。笑顔が消えていた。趣味の洋裁も家庭菜園もやらなくなっていた。
「お母さん、大丈夫?」と聞くと、「大丈夫、頑張るから」と。兄嫁なんかに負けずに頑張って生きるということだったのだろう。でも、そういうことじゃなくて、見方や考え方を変えて、人間関係のわだかまりを解決すれば、もっと楽に、笑顔で生きられたのに。もっと楽しく長生きできたのに。充分な時間とそこそこのお金があっても、幸せにはなれなかった…
人を変えることが出来ないように、自分の親も変えることは出来ない。
どうせ、私のアドバイスなんて聞いてもらえないと諦めるようになっていった。
白髪染めをやってあげたり、入浴を手伝ったりと、定期的に実家には行っていたけれど、母親の気持ちに寄り添うことは結局出来なかった。

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